弥生の成長を支えるサブスクリプション・ビジネス
業務ソフトウェアと多彩なサービスによって、中小企業や個人事業主の経営を支えてきた弥生。主力商品である「弥生シリーズ」は登録ユーザー数140万人を超え、業務ソフトウェア分野で圧倒的な強さを誇っている。その弥生が今注力しているのは、シェアNo.1のクラウドアプリケーション「弥生オンライン」を中核とするクラウド事業である。
「お客様に継続的にサービスを提供していくクラウドアプリケーションを新たな柱とすることで、業務ソフトウェアの売り切りとは桁違いの成長力が得られます。これを実現するには、お客様との長期のリレーションの中で利益を最大化するサブスクリプション型のビジネスモデルの強化が必要でした」と代表取締役社長 岡本浩一郎氏は語る。
サブスクリプション・ビジネスは弥生にとって初めての経験ではない。デスクトップアプリケーション向けの年間契約型のサポートサービス「あんしん保守サポート」を、売上の7割を占める中核ビジネスに育て上げた実績がある。このとき大きな成果を上げたのが、サポートプランの3階層化や初年度無償化といったサブスクリプション・ビジネスならではの施策である。
「これらの施策は事業の成長をもたらした反面、複雑化する課金モデルに対応するためのシステム開発の増大という問題も招きました。例えばサポートプランの3階層化は、ライトなサポートから、より手厚いサポートまで、ニーズの異なるお客様の獲得に大きく貢献できました。その一方で、プランのスイッチングに伴う変更処理は複雑になり、自社のサービスを開発する以上に、課金の仕組みの開発工数のほうが増大してしまいました。システム開発の負荷をかけることなくサブスクリプション・ビジネスを加速したい。この想いに応えてくれたのがZuoraのリレーションシップ・ビジネス・マネージメント(RBM)プラットフォームでした」
複雑化するビジネス要求に応えるZuoraのRBMプラットフォーム
岡本氏はZuora RBMプラットフォームの選択の理由として3つのポイントを挙げる。
「第1の理由は、サブスクリプション・ネイティブだということです。サブスクリプション・ビジネスにはプロダクト販売と全く違う機能セットが求められます。Zuora RBMは、私たちの業務要求に必要な機能のすべてを備えたプラットフォームでした」
たとえば、サブスクリプション・ビジネスでは、同一の課金収入に対して営業実績を反映するBilledベース(受注ベース)と財務会計のためのRecognizedベース(収益認識ベース)という2種類の処理が必要だ。しかし、これに対応できる業務アプリケーションは見当たらない。
「Zuora RBMは、受注ベース/収益認識ベースの複雑な処理をはじめ、フリートライアルや従量課金など、複雑なプライシングモデルのすべてがあらかじめ網羅されています。サブスクリプション・ビジネスに求められる多様な利用形態や課金モデルをすぐに適用でき、お客様の満足度の向上と収益の最大化を実現できると直感しました」
Zuora RBMは毎月のバージョンアップによって、常にその機能を拡張している。サブスクリプション・ビジネスのプラットフォームとしてこれも大きな魅力だったという。
「グローバルの主要なソフトウェアベンダーやクラウドベンダーの多くもZuora RBMを採用していて、毎月のバージョンアップには彼らのノウハウが反映されています。Zuora RBMを使うことでサブスクリプション・ビジネスの最新ノウハウを常に手にすることができるのです」
第2の理由は、システム開発のコストと時間の削減だ。「Zuora RBMは従量課金の利用料ベースのSaaSモデルで提供されるため、大きな初期投資を必要とせずシステム投資も運用費化できます。開発期間の短縮も大きなポイントです。複雑なビジネスモデルもビジネスユーザー自身が設定レベルで構築できるため、今までのシステム構築とはスピード感が違います。実際に、自社開発に2年を要した課金システムの構築がZuoraではわずか3か月で完了しています」
一方、弥生のエンジニアは、サブスクリプション・ビジネスを支える基本機能を提供する中核エンジンと、豊富なAPI群から成るZuora RBMのアーキテクチャに魅了されたという。
「外部システムと中核エンジンをAPIで結び、柔軟性と拡張性を備えた業務システムを構築する。これはシステム開発者から見ると理想的なしくみで、この基盤の上で弥生の新しいビジネスを構築したいという声が社内のエンジニアたちから上がりました。エンジニアたちのこの思いがZuora RBMを選択した3つ目の理由です」
新たなビジネス基盤が新たなサービスの開発を加速
Zuora RBMを導入し、弥生のサブスクリプション・ビジネスは加速している。2017年1月に投入された「やよいの給与明細 オンライン」をはじめ、複数のクラウドアプリケーションの業務基盤がZuora RBMで提供されている。Zuora Japanのきめ細かなサポートもあり開発は順調に進んだ。今後は、既存のクラウドアプリケーションや「あんしん保守サポート」もすべてZuora RBMに置き換え、Zuora for SalesforceによりSalesforceとの連携を行いさらなる売上の拡大を図っていくという。
「Zuora RBMの導入により、弥生のサブスクリプション・ビジネスの可能性が一気に広がりました。まもなくクラウドアプリケーションの従量型課金も開始し、サブスクリプション・モデルのデスクトップアプリケーションの投入も検討を進めています。Zuora RBMによる新たなビジネス基盤が支える多彩なサービスが、弥生の次の成長を支えていくことになるでしょう」
日本のスモールビジネスの事業コンシェルジュとなるべく、顧客の多様なニーズに応える弥生。その真摯な活動をZuoraが支えていくことになる。